教育・受験

不登校からの高校受験。勉強法や学習計画の立て方は?

Written: 長尾 尚子

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はじめに

不登校の当事者とその保護者にとって、高校受験とどう向き合うかは大きな悩みのタネです。
高校進学は、中学時代の生活習慣や人間関係を一旦リセットするチャンスでもあります。そのため、子供自身も高校受験に挑戦し、希望の学校に入って心機一転をはかりたいと望んでいるケースも少なくありません。
しかし、不登校の期間が長い場合、高校受験に必要な学力が身についているか、出席日数や内申点は不足していないか等、心配になる点も多いはず。

そこで今回は、「不登校からの高校受験」をテーマに、不登校の子が高校進学を目指す場合の受験対策や志望校の決め方、勉強法を解説します。

不登校からの高校受験対策。まずは志望校をピックアップしよう

高校受験に挑戦すると決めたら、入学後どのような高校生活を送りたいかを考え、高校卒業後の進路(仕事や大学進学など)もイメージしつつ、志望校を絞り込んでいきましょう。
また、なるべく早い段階で担任の教師に相談し、内申書(調査書)の内容や出席日数がどうなっているか、現状を把握することも大切です

志望校の選び方は?

高校には、全日制(公立、私立)、定時制、通信制等、いくつかの選択肢があります。まずはそれぞれの高校の制度の違いを知り、本人の生活スタイルや不登校の要因に沿って志望校を選びましょう。

➀ 全日制高校(公立)

全日制高校(公立)・画像

全日制とは、平日昼間(朝~夕方)に授業を実施する高校です。月曜から金曜まで週に5日間通学し、部活動などの課外活動も行う、もっとも一般的な高校です。

高校入学後に毎日学校に通うことが困難でない場合や、将来的に大学進学も視野に入れている場合は、全日制高校の受験を検討してみると良いでしょう
なお、公立校は、多くの都道府県で原則1校しか受験できません。受験の際は、入試(学力検査)の点数と、内申書(調査書)に記載された内申点(調査書点)の合計によって合否が決まります。

合否判定をする際の入試と内申点の比重は、平均すると50対50前後。都道府県や高校によって異なりますが、内申点の比重が小さくないことがわかります。そのため、「欠席日数が多い」「定期テストを受けていない」等で内申点が低くなりがちな不登校の生徒にとって、公立校の受験システムは不利となるケースがあるでしょう。

ただし、一部の公立校は、受験時に「不登校生枠」を設けており、内申書を反映しないで受験をすることが可能です。入試の方法は「学力検査の点数のみ」「面接と作文のみ」など、都道府県や高校により様々ですが、全日制公立校への入学を目指す場合は、諦めずにチャレンジしましょう。

  • 内申書(調査書)とは?
    各受験生の学校生活を反映する書類。学業成績を表す内申点のほか、欠席日数や課外活動(部活動、生徒会、英検の取得級数、作文コンクールでの受賞経験など)も記載される。
  • 内申点(調査書点)とは?
    通知表の5段階評価9教科分を合計した点数のこと。定期テスト(期末テスト)の成績や授業への参加態度、提出物の評価等が反映される。

➁ 全日制高校(私立)

全日制高校(私立)・画像

全日制の私立校は、推薦入試か、一般入試かによって受験時の難易度が異なります。一般に、推薦入試では出席日数を重視する傾向があるため、不登校の生徒は不利になるケースが多いでしょう。

一方、私立校の一般入試は公立校とは異なり、内申点や出席日数を不問としている高校が少なくありません。当日の学力検査で合格最低点を超えていれば合格となるため、全日制高校を志望する場合の有力な選択肢となります。
また、私立校の場合は複数の学校を受験することが可能。さらに、合格後の入学を約束する「専願制度」を利用し、受験時に優遇してもらうこともできます

私立校の中には、不登校生への通学配慮や学習サポートを実施している学校もあるので、それぞれ学校の特色を調べ、自分に合った高校を選びましょう。

➂ 定時制高校

全日制高校(私立)・画像

定時制高校は、働く青少年などを対象として夜の時間帯や短時間に分割した形式で授業を行う高等教育課程です。夜間に授業を行う「夜間定時制」、朝と昼に授業を行う「昼間二部定時制」、朝・昼・夜の3回に分けて授業を行う「三部制」と、高校によって様々な授業体制が設けられています。

学校には週5日間、毎日通う必要がありますが、授業時間は1日あたり4時間程度と短め。卒業までの年数は3~4年です。社会人として働きながら通う生徒も多く、10代を中心に幅広い年齢の生徒が集まります。
なお、定時制高校にも全日制高校と同様、公立校と私立校があり、公立校のほうが学費は安くなります。

卒業後の進路は、大学進学や専門学校への進学、就職など。ただし、授業の内容は高校卒業資格を得るために最低限必要なものとなっているため、大学進学を目指す場合は在学中に塾や予備校で受験対策をした方が良いでしょう
定時制高校の受験は、入試(学力検査)と面接を実施する高校が多くなっています。入試は国語・英語・数学の3教科。中には、学力検査を行わない高校もあります。

➃ 通信制高校

通信制高校・画像

通信制高校とは、通信(オンライン授業など)を活用して授業を受けることで高校卒業資格を取得できる高等教育課程です。単位制をとる高校が多く、所定の授業を受け、レポート提出と単位認定試験に合格することで、卒業までに必要な単位を取得します。

毎日通学する必要がなく、出席日数による退学や留年の心配もないため、「朝起きることが難しい」「決まった時間に学校に行けない」等、体質や病気・障害等が原因で不登校となった場合は、通信制高校を検討してみると良いでしょう

なお、通信制高校では、通常の授業のほかにスクーリングと呼ばれる対面授業に参加する必要があります。頻度は2週間に1回、年に4回など高校によりバラつきがありますが、スクーリングの際は、学校へ行って授業を受ける必要があるため、自宅から通学可能なエリアにある高校を選びましょう

通信制高校の受験は、入試(国語・英語・数学)がある場合、学力検査がなく書類審査や作文、面接で合否を判定する場合と、高校によって異なります。全日制高校や定時制高校と同様に、公立校と私立校があり、授業料は公立校のほうが低めです。ただし、数が少なく、応募可能なエリアを限定している場合も。

近くに通信制高校がない場合は、全国から生徒を募集している広域通信制高校を検討してみるのも1つの方法です
また、卒業後の進路として大学進学を目指す場合は、定時制高校と同様、塾や予備校で受験に即した学力を補ったほうが良いでしょう。

ID学園高等学校

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出典:ID学園高等学校公式サイト

1889年に開校した学校法人「郁文館夢学園」が運営する広域通信制高校。オンライン学習を活用した「通信型」と、登校日数や学習内容を選択できる「通学型」の2つの学習スタイルを提供している。通学型は、「週1日コース」、「週3日コース」、大学進学を視野に入れた「総合学習コース」、海外への留学を行う「グローバルコース」、社会問題や経済問題を学び起業を目指す「起業・ビジネスコース」の5コースに分かれる。2つの学習スタイルと5つのコースは、在学中に変更することも可能
入学前後や在学中は小・中学校の学び直し授業を実施しており、不登校生の支援を手がけるAllightによる「入学準備サポートプラン」「ピアサポートプラン(家庭訪問)」等も提供。不登校からの高校進学と、入学後の学校生活をサポートしている

基本情報

募集対象地域 東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県・群馬県・栃木県・山梨県・長野県・静岡県・大阪府・京都府・兵庫県・奈良県
所在地
  • 本校……長野県東御市
  • キャンパス……水道橋、池袋、立川、大宮、御殿場
受験方法
  • 通信型オンラインコース……書類選考のみ
  • 通学型各コース……書類選考、面接
おもな学費 【通信型オンライン学習コース】
  • 入学金……50,000円
  • 授業料……6,900円×単位数
  • 本校教育充実費……48,000円/年
  • 制服(任意)……男子冬用約37,000円、女子冬用約40,000円
  • その他、教材費、スクーリング費(交通費、宿泊費等)、PC購入費(必要な場合)は別途

ID学園高等学校公式サイトへ行く

不登校から高校受験をする際のおすすめの勉強法は?

【不登校から高校受験】おすすめの勉強法は?

不登校から高校受験をする場合、どこから勉強に手を付ければ良いかわからない・・・という生徒・保護者も多いはず。
不登校の場合の勉強法は主に「塾」「家庭教師」「自宅学習」の3つ。まずは、それぞれの勉強法のメリット・デメリットを知り、本人に合ったやり方を見つけましょう。

➀ 塾

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塾で勉強するメリットは、高校受験に照準の合った講義を受け、受験対策を行える点です。講義の形式は、塾によって集団と個別指導に分かれるので、他の生徒と一緒に講義を受けることが困難な場合は、個別指導型の塾(またはオンライン塾)を選ぶと良いでしょう。
一方、デメリットは、講義の内容が一般的な授業進度に合わせたものになっている点です。不登校の期間が長く、学習の遅れや学力不足が気になる場合は、塾側のフォローアップ体制(不登校生への対応、補習や学習指導の有無etc.)を確認しましょう。

➁ 家庭教師

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家庭教師は、自宅でマンツーマン指導を受けられる点がメリットです。現在の学力と志望校の偏差値を相談することで、受験までの学習計画を立案してもらえるケースも多く、オーダーメイドの受験勉強に取り組めるでしょう。
デメリットは、塾や自宅学習と比較すると費用がかかる点です。最近は、オンラインで個別指導を受けられる「オンライン家庭教師」のサービスも普及しはじめており、対面型よりも料金を抑えられるため、検討してみると良いでしょう。

家庭教師比較くらべーる

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出典:家庭教師比較くらべーる公式サイト

38社の家庭教師センターを比較できる一括資料請求サイト。住まいの地域と子供の学年を入力すると、おすすめの家庭教師センターがピックアップされ、気になる会社に一括で資料(無料)を請求できる。提携の家庭教師センターにはオンラインに対応している会社もあるので、対面・オンラインを比較したい場合も役立つ。
「家庭教師比較くらべーる」経由で家庭教師に申し込むと、毎月先着15名に20,000円がもらえるキャンペーンも要チェック

家庭教師比較くらべーる公式サイトへ行く

➂ 自宅学習

自宅学習・画像

「受験に費用をかけたくない」「通学や対面で他人に会うのは苦手」「自分のペースで勉強したい」等の希望がある場合は、自宅学習をメインにすると良いでしょう。
高校受験を自宅学習で成功させるポイントは、最初に自分の学力をチェックし、理解できていない箇所を洗い出すことです。塾などが実施しているオンラインの模試や学力診断テストを受け、授業の遅れや弱点を把握するとともに、志望校の合否判定もチェックしてみましょう。
自宅学習による勉強法は、教科書と参考書をメインの教材として問題集を解いていくのが基本となります。志望校が決まっている場合は、ある程度勉強が進んだ段階で過去問を手に入れ、何度も解いてみるのがおすすめ。
また、通信教育やオンライン教材も、学習すべきポイントと各学年の単元がまとまっており、受験対策として役立ちます
特に、オンライン教材を使った自宅学習は、所定の条件(担任の家庭訪問や学校長の許可など)を満たすことで不登校でも出席扱いになる場合があります。苦手分野まで学年をさかのぼって学習できる「無学年方式」という学習機能が搭載されている教材もあるため、不登校期間の学習の遅れが気になる場合はチェックしてみましょう。

すらら

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出典:すらら公式サイト

無学年方式を採用するオンライン教材。自宅のパソコンやタブレットで教材にアクセスし、解説や練習問題をこなすことで知識を定着させる。一人ひとりに自宅学習をサポートする「すららコーチ」が付き、子供の特性をヒアリングした上で学習計画を立案。不登校時の出席扱いに向けてのサポートや、高校受験を見すえた学習計画の立案などを行う。不登校の出席扱い認定人数は累計300人以上と高い実績も魅力
紙の通信教材とは異なり、「見る、聞く、書く、読む、話す」というオンライン学習ならではの勉強法が可能なので、ゲーム感覚で問題を解くことができる。

基本情報

対象年齢 小1から高3
対応教科 国語、数学、英語、理科、社会
入会金(税込)
  • 小中・中高5教科コース……7,700円
  • 小中・中高3教科コース……11,000円
受講料 【3教科(国・数・英)コース】
  • 中高コース(毎月払い)……月額8,800円
  • 中高コース(4ヶ月継続コース)……月額8,228円
【5教科(国・数・理・社・英)コース】
  • 中高コース(毎月払い)……月額10,978円
  • 中高コース(4ヶ月継続コース)……月額10,428円

すらら公式サイトへ行く

不登校の子の高校受験。親はどうサポートする?

子供が高校受験を決意したのであれば、できるだけのサポートをしてあげたいと考えるのが親心でしょう。しかし、励ますつもりがかえって子供にプレッシャーを与えてしまったり、親の期待が強すぎて子供が自分の希望を言い出せなくなってしまったり等、進路選択には難しさがつきまとうことも事実です。

不登校の子の高校受験をサポートする上で、親が意識しておきたいポイントを以下にまとめました。

  1. ポイント①:学校やスクールカウンセラー、フリースクールとの連携体制を整える
  2. ポイント②:子供に寄り添い、話を聞く
  3. ポイント③:高校の校内見学・学校説明会に同行する

ポイント①学校やスクールカウンセラー、フリースクールとの連携体制を整える

高校受験は、それまで学校に通っていなかった子供自身にとって大きなチャレンジです。志望校の選択肢や、現時点での学力、内申書の内容などを知るためにも、まずは学級担任やスクールカウンセラーに連絡を取り、高校を受験する意思があることや、これから取り組むべき学習内容について相談してみましょう。不登校中に通っていたフリースクールやサポート校がある場合は、そちらとの連携も大切です。
子供の高校受験について情報を共有し、子供(あるいは親自身)が悩みを抱えた場合に相談できる窓口を増やしておきましょう

ポイント②子供に寄り添い、話を聞く

不登校から高校受験をする子供のほとんどは、自分の学力や周囲との差に不安を抱えています。中には「内申点が低い」「実力判定模試の結果が悪い」等で行きたい高校をあきらめざるを得ないケースもあるかもしれません。
一番頑張っているのは子供自身であることを理解し、親は本人の気持ちに寄り添って、不安や勉強のつらさに耳を傾けましょう。こうしたらどう?とアドバイスをするよりも、まずは子供の話に耳を傾けることのほうが重要です
なお、「子供が親にはうまく気持ちを伝えられない」「親が子供の話を上手に聞いてあげられない」という場合は、不登校の専門家(スクールカウンセラーや教育支援センター等)をあいだにはさむのも1つの方法です。

ポイント③高校の校内見学・学校説明会に同行する

志望校を1~3校に絞り込めた段階で、子供と一緒に校内見学や学校説明会に参加してみましょう。高校の雰囲気や、生徒と教師の様子、校内設備などを実際に目にすることで、子供は入学後の具体的な生活をイメージでき、モチベーションアップにつながります。
複数の志望校のうち、どれにするかを迷っている場合も、現地に行くことによって第一志望を選びやすくなるでしょう。

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