教育・受験

塾なしで中学受験に合格できる?学習塾を利用しないメリット・デメリット、スケジュールの立て方や教材の選び方をチェック

Written: 長尾 尚子

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塾なしでも中学受験に合格できる?

中学受験を検討しているが、できれば塾を利用せずにすませたい、と考えるご家庭も多いのではないでしょうか。
大手進学塾は中学受験のエキスパートであることは間違いありません。塾に通い合格を目指す場合、受験の3年前(小学3年生の2月)からステップを踏み、合格に必要な学力の指導を受けるケースが一般的です。
しかし、4年生から6年生まで塾に通った場合の合計費用は、平均200~300万円と決して安くはありません。将来の大学進学費用も考慮すると、教育費は可能な限り抑えたい・・・というのが保護者の本音でしょう。

塾なしで中学受験合格を目指す場合、子供自身に家庭での学習習慣が身についていることが重要なポイントです。また、親子で話し合いながら学習方針とスケジュールを立てて計画通りに進めていくことや、子供に合った教材を活用することも必要不可欠。
塾を利用した場合よりも自己管理が求められる分、難易度も高い「塾なしの中学受験」ですが、学習のポイントを押さえて、良質な教材を使い、志望校や受験情報の収集をまめに行える環境であれば不可能ではありません。

そこで今回は、塾なしで中学受験を目指す場合のメリットやデメリット、学習のスケジュール、教材の選び方等について解説します。

塾なしで中学受験をするメリット&デメリット

塾なしで中学受験をするメリット&デメリット・画像

塾なしで中学受験をするメリット

  • 塾の受講費用や交通費など、高額な費用がかからない
  • 子供が自由な時間を確保しやすい
  • 学習のカリキュラムやスケジュールを自分で決められる

塾なしで中学受験をするメリット塾の受講費用や交通費など、高額な費用がかからない

塾なしで中学受験をするメリットは、やはり費用面での負担の少なさです。授業料や入学金以外にも、塾の場所が遠い場合は交通費(電車代、バス代)、放課後から夜まで授業がある日はおやつ代が必要になる場合もあり、塾を利用しなければ、これらの費用負担を避けられます。

塾なしで中学受験をするメリット子供が自由な時間を確保しやすい

塾を利用しないメリットのもう一つは、時間面での融通が利きやすい点です。学習時間が決まっていないため、たとえば「休憩中に1時間だけゲームをする」「夜は早めに寝て、朝中心で勉強する」など、子供が自分に合った学習スタイルを取ることが可能。
6年生になると多くの中学受験生は塾に通う時間が増えるため、習い事や友達との遊び時間を削らざるを得ませんが、塾なしで中学受験をする場合は、スケジュールをやりくりすることで子供が自分の時間を確保しやすいでしょう

塾なしで中学受験をするメリット学習のカリキュラムやスケジュールを自分で決められる

塾は一定のペースで授業が進むため、理解が不十分の箇所が残っていると、確認テストや次の単元でのつまずきが起こりやすくなります。学習面でのやり残しが多い(または教科ごとの差が大きい)場合は、自分のペースで理解不足の箇所を復習できる家庭学習が有利な場合も少なくありません。また勉強以外に打ち込んでいる習い事がある場合、スケジュールの組み方次第では、両立も可能でしょう

塾なしで中学受験をするデメリット

  • 受験勉強のモチベーションを保ちにくい
  • 試験問題の攻略法や学習相談などのサポートを受けられない
  • 志望校の受験情報を得にくくなる

塾なしで中学受験をするデメリット受験勉強のモチベーションを保ちにくい

塾なしで中学受験をするデメリットは、周囲に自分と同じ中学受験生がおらず、モチベーションを維持しにくい点です。家庭学習の場合は、ゲームやテレビなどの誘惑も多く、毎日の学習スケジュールを決めてしっかりとそれをこなすようにしなければ、受験への熱意自体が弱まってしまう可能性があります。

塾なしで中学受験をするデメリット試験問題の攻略法や学習相談などのサポートを受けられない

大手進学塾には志望校別の受験対策や入試傾向などのノウハウが蓄積されています。志望校を把握している塾から学習アドバイスをもらえ、学習方法などの相談に乗ってもらえる点は進学塾の大きなメリットでしょう。

塾なしで中学受験をするデメリット志望校の受験情報を得にくくなる

塾に在籍している場合、志望校の受験情報(説明会の日程や募集要項など)は講師や子供自身の口から自然と入ってくるケースも少なくありません。塾なしで中学受験をする場合は、希望する中学校の公式サイトをチェックし、こまめに情報収集をする必要があります

塾なしで中学受験をする場合の学習スケジュール

塾なしで中学受験をする場合の学習スケジュール・画像

塾なしで中学受験をする場合の学習スケジュールまずは家庭での学習習慣を身につけよう。本格スタートは小4から

塾なしで中学受験をする場合にもっとも大切なのは家庭学習の習慣です。できれば低学年のうちから学校の宿題やドリル、通信講座などで、毎日一定時間の勉強する習慣を身につけておけると良いでしょう。
子供自身が親と話し合って「今日はここまでやる」という具合に学習計画を立て、計画通りに実行できるようになっておくと、中学受験の学習にもスムーズに移行しやすくなります。
進学塾が塾生を募集しはじめる時期と同じ小4(小3の2月)頃には、中学受験用の教材を揃え、受験勉強をスタートさせましょう。

塾なしで中学受験をする場合の学習スケジュール最初に模試で弱点チェック&理解不足の箇所はわかるところまで戻って学習

中学受験の学習を始めるときは、最初に大手学習塾などが実施する公開模試で、現在までの学習到達度や志望校への合格見込みをチェックしておくと、その後の方針を決めやすくなります。
最初に受ける模試は、弱点部分を把握し対策を練るために行うものなので、この時点で結果が悪くても焦る必要はありません。

弱点がはっきりしたところで、小学校の教科書や中学受験生用の参考書、その他の副教材を活用して勉強を始めます。このときに心がけたいのは、 基礎固めをするための「さかのぼり学習」と「反復学習」を優先させること。
まずは模試で答えられなかった問題のつまずき箇所を分析し、 わかる部分まで戻って学び直す「さかのぼり学習」を行いましょう。小学校の教科書は、各単元の基本をしっかり覚える上で役立ちます。また、 一度覚えたことを「翌日」「1週間後」「1ヶ月後」などのスパンで定期的にチェックする「反復学習」も、知識を定着させる上で効果的。学校のドリルやテストを比較的苦労なくこなせるようになるまでは教科書を参考にした基礎学習を行い、次のステップで応用問題のできる教材、その次に受験用の教材へとステップアップしていくと良いでしょう。

塾なしで中学受験をする場合の学習スケジュール学習の進度・カリキュラムは学習塾を参考に

中学受験の学習を学習塾と同じタイミングでスタートできる場合、学習の進め方や進度は塾のカリキュラムを参考にしたほうが組み立てやすくなります。
多くの塾では、5年生までに小学校6年間の学習単元を終え、残りの1年間で問題演習・弱点の補強・志望校別の過去問演習などに取り組むので、これをもとに3年間の学習の流れを把握しておきましょう。
学習塾のカリキュラムに合わせて学習を進めることは、万一、家庭学習だけでは成果が出ず、やはり塾を利用したいとなった場合に切り替えがきく意味でもおすすめです。(ただし、塾への切り替えは、受験の迫った小6以降などは新規受講生の枠がない場合もあります。)

参考:塾の中学受験スケジュール例

学期 スケジュール
3年生 3学期(冬)
  • 自主的に学習する習慣を身につける
  • 一定量の宿題をこなす習慣を身につける
  • 通塾のリズムをつかむ
4年生 1学期(春)
2学期(夏~秋)
  • 学校説明会・見学会に参加し、情報収集
3学期(冬)
  • 4年生の総復習、積み残しをなくす
  • 5年生に向けて本格的な学習体制に移行
5年生 1学期(春)
  • 中学受験のカリキュラムが本格的にスタート(問題演習と繰り返し学習。特に算数の比重が高まる)
  • 公開模試を受ける(学力チェック、弱点チェック)
2学期(夏~秋)
  • 問題演習と繰り返し学習
  • 中学受験の情報収集(学校説明会・見学会・文化祭などに参加)
3学期(冬)
  • 志望校を検討する
  • 6年生に向けて5年生の総復習、積み残しをなくす
6年生 1学期(春)
  • 問題演習と繰り返し学習
  • 志望校判定模試を受ける
2学期(夏~秋)
  • 問題演習と繰り返し学習
  • 過去問演習
  • 弱点の補強
  • 第一志望校を絞り込む
  • 学校説明会・見学会への参加(保護者中心)
  • 小学校に中学受験の意思を伝える
入試100日前
  • インフルエンザ等予防接種
  • 過去問や模試の結果分析、弱点の補強
  • 第一志望校の決定と出願書類の準備
10~12月
  • 生活リズムを整える(早寝早起き)
  • 直前の最重要課題の対策
  • 併願校の決定と出願書類の準備
1月
  • まとめ・繰り返し学習
  • 下旬から首都圏中学校の入試開始
2月
  • 中旬頃まで首都圏中学校の入試
3月
  • 合格発表、入学手続き
  • 祝賀会・残念会など

塾なしの中学受験、教材の選び方はどうする?

塾なしの中学受験、教材の選び方はどうする?・画像

中学受験向けの教材は、教科ごとに多数の参考書・問題集・プリント教材が市販されています。学習習熟度によって難易度が分かれている教材が多いため、教科書レベルの問題集をきちんとマスターした上で次の段階へレベルアップしていきましょう。
日能研や四谷大塚といった大手学習塾が手がける教材も出版されており、中学受験の実践的な学習を進める上で役立ちます。

教材を選ぶ際は、問題集であれば解答部分の解説がわかりやすいものがおすすめ。子供が一人で読んで理解できればベストですが、ハイレベルな問題集は、子供自身がわからないケースも。そういう場合は、保護者が問題集をチェックし、子どもが理解できるかをチェックしましょう。

また、紙の教材だけではなく、タブレットやパソコンで中学受験を対象にした講座と問題演習を受けられる通信教育や、理科の実験・算数の解き方のコツなどを動画で見られる映像教材、暗記に特化したアプリなども増えています。これらの教材は、受講費用も塾より手頃なものが多いため、無料体験やサンプル教材の取り寄せなどを試しつつ検討してみると良いでしょう。

なお、副教材として様々な教科を漫画で解説する「学習まんが」を活用するのも選択肢の1つ。国語のことわざや慣用句、社会の歴史や伝記、理科の自然や物理法則など、子供の得意な分野・苦手な分野にあわせて選んでみましょう。
ゲームが好きな子供の場合は、ニンテンドーSwitchの各種パズルゲームや『マインクラフト』『桃太郎電鉄』などを活用すると、算数の図形問題、社会の地理・歴史などを楽しく覚えることができ、おすすめです。

親の役目は?塾なし中学受験で心がけたいこと

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塾なしで中学受験にチャレンジする場合、親の負担は大きくなることを覚悟する必要があります。受験までの学習スケジュールを子供と一緒に立て、計画通りに学習が進められるようサポートするのはもちろん、教材の選別や、質問を受けた箇所の解説、問題集の丸付けなど、塾に通えば一部は外出しができるタスクも親の仕事に。
特に子供が学習につまずいたり、受験のモチベーションが落ちてきたりした場合に、どれだけ焦りやイライラを抑えて本人の気持ちに寄り添えるかは重要です
「中学受験は親子受験」と言われる通り、受験をするのは子供でも、勉強・メンタル・情報収集の3つの面における親のサポートは、受験の結果を大きく左右します。

中学受験が気になっている保護者の方は、まずは子供と志望校などについてしっかり話し合った上で、受験までの学習スケジュールと各社の教材選びを十分な情報収集とともに行いましょう。
塾なしと決めていても、学習塾そのものは中学受験に関する有意義な情報を発信しているので、定期的に公式サイトのコラムなどをチェックし、知識をアップデートしていくのがおすすめです。
今回ご紹介した学習スケジュールの立て方や教材の選び方も参考に、親子二人三脚で希望する中学への合格を目指しましょう!

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