会社員からフリーランスになるには?ママライターが実体験で語る仕事の始め方&見つけ方

働き方を考える

Written By 長尾 尚子

会社員からフリーランスになってどう?メリット・デメリットを実体験も交えて語ります!

こんにちは、フリーライターの長尾です。2018年春に務めていた会社を退職し、フリーランスのWebライターになりました。現在は複数のWeb媒体で文章を書く仕事をしています。

プライベートでは男の子2人、女の子1人の3児の母です。特に3人目はフリーランスになってから出産したため、休業補償や仕事の復帰時期などで会社員時代とのギャップを感じることが多々ありました……。

そんな中、

これからフリーランスという働き方を考えている方のために役立つ情報を届けたい

という依頼をいただきました。

会社員からフリーランスになってどうだったか? 良かったことや大変だったこと。「こうしておけば良かった」という振り返りなど、私の実体験が少しでも他の方のお役に立てるようであればと、お引き受けすることにした次第です。

私自身が小学生と乳児を持つママなこともあり、「子供を保育園に預けられる?」「育児と仕事は両立できる?」「出産後どれくらいで復帰した?」といった働くママ視点で気になるポイントについてもお伝えできたらと思います。

フリーランスのここが魅力!ここが大変!メリットとデメリット

フリーランスの魅力とメリット

  • 好きな時間に働ける
  • 仕事の量も進め方も自分次第
  • 通勤が不要

フリーランスの魅力とメリット その1
好きな時間に働ける

ほとんどの方がイメージされている通り、フリーランスの一番の魅力は時間に融通がきくことです。ライターの場合は、締め切りに遅れないようにクライアントに記事を納品すればOK。

会社員のように就業時間や就業日数が決まっているわけではないので、仕事をする時間はもちろん、仕事をする日も自分で決めることができます

たとえば、早朝、家族が起きだす前に仕事をしたときは、午後に仮眠する時間を作ったり、子供が熱を出したときや「赤ん坊が夜泣きをして寝不足」という日は、子供や自分自身の体調を優先して仕事を休む場合もあります。

自分と家族の状況にあわせて仕事時間を調整できるので、日々の生活満足度はかなり高めです。

フリーランスの魅力とメリット その2
仕事の量も進め方も自分次第

仕事の量や進め方を自分でコントロールできるのもフリーランスになって良かったことのひとつです。

慣れていない仕事は納期までの時間にゆとりを持たせたり、簡単な仕事は量を増やしたり、スキルアップできる案件にチャレンジしたり、反対に、育児に専念するために受注量をセーブしたりと、自分の都合で働き方を変えることができます。

その一方で、会社という後ろ盾がない不安から仕事を受けすぎてしまうこともフリーランスにはありがちです。「断ったら次がないのでは?」と思うと、いただいた依頼はすべて引き受けたくなってしまうのです。

ただ、キャパシティを越えた仕事をずっと続けていると、自分の健康か仕事の納期か(最悪の場合はその両方とも)に影響が出てしまいます。それだけは避けなくてはと思い、独立後はまず自分の書くスピードや1案件にかかる時間を測って記録していました

現在は、「1ヶ月あたりの仕事に使える時間÷1案件あたりの時間」で受注できる仕事の本数をざっくりと出してから仕事を受けています。そのおかげか、フリーランスになってから納期で大きな失敗はせずにすんでいます。

フリーランスの魅力とメリット その3
通勤が不要

新型コロナウイルスの影響で在宅勤務のメリットが見直されていますが、私も在宅で仕事をするようになった当初、想像以上にラクだったので驚きました。

会社員時代、通勤はそこまで苦痛ではなく、読書や資格の勉強などわりと有意義に過ごしていたように思います。しかし、電車やバスの移動にかかっていた時間を丸ごと仕事に充てられるのはやはり効率が良いですし、大雨や台風の日に濡れて不快な思いをすることも、事故や渋滞で乗り物が遅延することもないので快適です。

服や化粧品の費用も以前よりかからなくなり、コスパの良い生活を送っています。

フリーランスの注意点とデメリット

  • 収入が不安定
  • 休業補償がない
  • プライベートとの切り分けが難しい

フリーランスの注意点とデメリット その1
収入が不安定

フリーランスの仕事は歩合制がほとんどです。仕事をしない月は収入もゼロで、有給休暇のような補償もありません。

毎月決まった給料が支払われる会社員と比較すると、収入はどうしても不安定になります。また、報酬はクライアントによっても違い、中には相場より大幅に低い金額で発注するクライアントもいます。

自分が手がけている仕事と同等のものが市場ではいくらでやりとりされているのか、相場感覚を身に付けておくと「安く使われてしまう」ことを避けやすくなります。場合によっては、クライアントに価格交渉をしてみましょう。

フリーランスの注意点とデメリット その2
休業補償がない

会社員が加入する社会保険や雇用保険は、ほとんどのフリーランスは対象外です。

病気やケガで仕事を休んだときに支給される「傷病手当」や、退職後の失業期間中にもらえる「失業給付」、出産や介護で仕事を休んだときの「出産手当」「育児休業給付」「介護休業給付」などは、いずれも健康保険・雇用保険の加入者に支払われるため、フリーランスになるともらうことができません。

私も第3子を妊娠・出産したときは、産休・育休中の手当がないことでしみじみと「会社員時代は守られていたんだな……」と思いました。

ちなみに、フリーランスは仕事を辞めても失業給付をもらうことができませんが、会社員を退職後、ハローワークで失業給付の手続き中にフリーランスとして開業したことを申告すると、「再就職手当」をもらえる場合があります。こちらは、フリーランスとして実際に行った手続きのところで詳しく解説していますので参考にしていただければ幸いです。

フリーランスが対象外になる休業補償

休業の種類 会社員 フリーランス
失業したとき ・失業給付金<雇用保険>
賃金日額の45~80%相当額(上限日額8,333円)
期間:90~330日
なし
病気やケガで仕事を休んだとき ・傷病手当金<健康保険>
賃金日額の3分の2相当額
期間:休業4日目以降、最長1年6か月
なし
妊娠・出産で仕事を休んだとき ・出産手当金<健康保険>
標準報酬日額の3分の2相当額
期間:出産日以前42日前から出産日以後56日まで
・育児休業給付金<雇用保険>
賃金日額の50~60%相当額
期間:子供が最長2歳まで
なし
介護で仕事を休んだとき ・介護休業給付金<雇用保険>
賃金日額の67%相当額
期間:通算93日
なし

フリーランスの注意点とデメリット その3
プライベートとの切り分けが難しい

家で働いていると、仕事中でも育児や家事などで対応しなければならないケースが少なくありません。

仕事の合間に洗濯や料理などを済ませられるのは便利なのですが、「書くことに集中したい」あるいは「家族との時間に仕事を持ち込みたくない」と感じることも。

その場合は、居室の一つを仕事部屋にしたり、リビングの一角に「仕事スペース」を作ると、仕事とプライベートを分けやすくなるのでおすすめ。シェアオフィスや近場のカフェ等を活用して仕事と家庭を物理的に切り離すのも一つの方法です。

ただ、私自身は子供がまだ小さいこともあり、仕事に家庭生活が入ってくるのは、ある程度仕方のないことと割り切っています。

子供が熱を出したときに、あまり悩まず仕事を中断して病院に連れていくことができ、学校から帰った子供に「おかえり」と言えるのは、仕事とプライベートが否応なく混ざってしまう現在の働き方の「デメリットと表裏一体のメリット」でもあると感じています。

フリーランスになるにはどんな準備が必要?実際に行った手続きのまとめ

会社員からフリーランスになるときには、いくつか手続きが必要です。退職してからフリーランスとして開業するまで、私の場合は、おもに以下のような手続きをしました。

フリーランスになるときに必要な準備

  1. 貯金をする(開業資金、生活予備費etc.)
  2. ハローワークで失業給付を申請する
  3. 開業届を提出する
  4. 社会保険をどうするか決める(国民年金・国民健康保険への加入、配偶者の扶養に入る、健康保険は任意継続をするetc.)
  5. 保育園や学童に勤務先の変更を連絡する(役所に申請書類と開業届を提出)
  6. ハローワークで再就職手当を申請する
  7. 翌年3月に確定申告をする

貯金をする

開業資金は職種によって大きく異なります。私はライターなので、かかった費用は交通費や書籍代程度でした。

しかし、フリーランスは収入が不安定で、社会保障や休業補償も会社員のときほど手厚くありません。生活予備費のためにも貯金をしておいて良かったです。

貯金は生活費一年分くらいの額があると安心。夫婦共働きでも家計の負担割合に応じてご自身の分を一年分程度、貯めておくと良いでしょう。

ハローワークで失業給付を申請する

退職後はハローワークで失業給付を申請します。自己都合退職の場合は、7日間の待機期間の終了後、「雇用保険受給説明会」に参加しましょう。

説明会に参加したあとは、ハローワークの指示に従って就職活動を開始します。そのまま失業給付を受けつつハローワークでの求職活動を継続するのも一つですが、私の場合は、失業給付を受ける前に3.の「開業届」を提出してフリーランスになりました。

なお、退職する前からフリーランス一択で行こうと考えている場合も「再就職手当」をもらう場合はハローワークへの顔出しが必要となります

開業届を提出する

開業届とは、個人事業主として事業を始める際に提出する書類です。住まいの最寄りの税務署に提出し、確認印の押された「控え」をもらいます。返却された開業届の控えは、保育園や学童の入所申請に添付するなど出番が多いので大切に保管しておきましょう

また、青色申告で確定申告をする場合は、開業届と一緒に「青色申告承認申請書」も提出します。青色申告とは、所得額から最大65万円を控除できるお得な節税制度。

利用するためには複式帳簿で帳簿をつける必要がありますが、会計ソフトを利用することで比較的簡単に手続きできます

青色申告は、「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出していないと対象外となってしまうので提出を忘れずに。

社会保険をどうするか決める

フリーランスになると、社会保険は「厚生年金&健康保険」から「国民年金&国民健康保険」に切り替える必要があります。配偶者が会社員の場合は第3号被保険者になる(扶養に入る)ことも可能。

ただし、退職前の収入によっては扶養対象外となる可能性もありますので、ご自身の12月までの予定収入額を調べてみましょう。

健康保険については任意継続をする選択肢もあります。任意継続にすると退職後も2年間、健康保険の被保険者になれます。

会社が折半していた保険料を全額自分で支払うことになるため、国民健康保険に加入した場合とどちらが割安になるかはケース・バイ・ケース。役所の担当課に相談すると試算してもらえます。

保育園や学童に勤務先の変更を連絡する

開業の届け出と社会保険の手続きが終わったら、保育園や学童に勤務先が変わったことを伝えましょう。

認可保育園や公立の学童は、地域の自治体(市役所、町役場など)で変更手続きをします。提出書類として開業届の控えを求められることが多いでしょう。

また、二年目以降に継続入所を申請する場合や、新規で保育園や学童の入所を申し込む場合は確定申告書の写しも必要になります

フリーランスも子供を保育園に預けられるの?

年度の途中で会社員からフリーランスになっても、開業届を出して勤務先の変更を伝えることで、引き続き保育園や学童に在籍できます。翌年度以降、保育園を利用する場合も、会社員のときと同じように継続入所の申請をすればOK。ただし、今まで会社に記入してもらっていた「就労証明書」などの申請書類は自分で書くことになります

また、フリーランスで出産した場合の「保育園の入りやすさ」が気になる方も多いのではないかと思います。第3子の妊娠・出産の際に住んでいる町の役所で聞いてみたところ、フリーランスだから入所に不利に働く、ということはないようでした。一番上の子のときには、保育園の入所が点数制になっていて、フルタイムで働く正社員がもっとも点数が高く、自営業者は会社員よりも点数が下がる、と言われた記憶があっただけに、時代の変化を感じます。以前よりも多様な働き方への理解が少しずつ進んでいるようです。(保育園の入りやすさについては自治体により異なりますので、お住まいの自治体に確認をお願いします。)

ハローワークで再就職手当を申請する

フリーランスとして開業したあとはハローワークで再就職手当を申請します。再就職手当には支給要件があり、7日間の待機期間を経て就職活動を開始していること、失業給付の残日数が3分の1以上あること等、いくつかの要件を満たしていなければ受け取ることができません。

クライアントと交わした契約書の提出を求められる場合もあるので、なるべく早いうちに仕事を始め、就業の見込みを証明できるようにしておけるとベター。

ハローワークによって対応が異なるケースもありますので、担当者に相談してみることをおすすめします。(参考:再就職手当のご案内-厚生労働省【PDF】

翌年3月に確定申告をする

開業した翌年の3月はフリーランスとして初めての確定申告を行います。

会社で働いていたときは、医療費が10万円を越えた年ぐらいしか縁がない、という人も多い確定申告ですが、フリーランスとして働きはじめると毎年恒例の作業になります

一年間の収入と支出を整理し、支出については経費にできるもの・できないものを仕分けましょう。会計ソフトを利用すると、ソフトの指示に従って入力していくだけで帳簿作成から税務署への提出(e-Tax可)までできるのでおすすめです。

フリーランスになるときこれは必要?

クレジットカードを作る

会社員と比較するとフリーランスは収入の不安定さから信用情報が悪くなるので、開業前にはクレジットカードを作っておくと良いでしょう。私はすでに自分のカードを持っていたので、開業にあたって特別に作ることはしませんでした。ただし、個人事業主用のクレジットカードを作っておき、そちらに経費の支払いをまとめるのは、会計処理をラクにする一つの方法だと思います。

保険に入る

万一の病気やケガに備えて民間の医療保険や所得補償保険をするかどうか。こちらもフリーランスになる前に気になるところかと思います。私の場合は、なにかあれば貯蓄で対応するつもりで、特に見直しなどはしませんでした。

ただし、中小機構が扱う「小規模企業共済」は、退職金が見込めないフリーランスにとって老後資金を貯められるお得な制度です。掛金は全額所得控除になるので節税も可能。こちらは独立後に加入し、収入に余裕が出た時点で掛金の増額も考えています。

仕事はどうやって見つける?フリーランスの仕事獲得方法

フリーランスとして働く上でもっとも心配になるのが、「どのように仕事を見つけるか?」でしょう。Webライターについて言えば、大きく分けて「ネット上で見つける方法」と、「人づてに仕事をもらう(人脈を活かす)方法」とがあります。

フリーランスの仕事の見つけ方 その1
インターネット上で見つける

フリーランスが仕事を見つける一番オーソドックスな方法がインターネットです。

仕事をしたい人と仕事を依頼したい企業・個人をマッチングさせるクラウドソーシングサイトは、ライティングをはじめ、デザイン、webサイト制作、プログラミング、動画編集などたくさんの仕事を見つけることができます。

ほとんどのクラウドソーシングサイトは登録・マッチングは無料。クライアントから報酬が支払われた段階で、報酬額に応じてシステム手数料を支払うしくみです。

初心者向けの案件も多数ありますが、報酬は低めなので、最初は複数の依頼をこなしながら実績を重ね、次第に報酬単価の高い仕事にチャレンジしていけると良いでしょう

クラウドワークス画像

クラウドワークス

全国72万社の企業が利用するお仕事マッチングサイト。「ライティング・記事作成」の仕事は、初心者OKのブログ記事から専門ライティングまで幅広い。代金の仮払いシステムを採用しており、依頼する企業は発注時点でクラウドワークスに報酬を支払う。納品後の支払いトラブルを避けられる点が嬉しい。

システム手数料
報酬額の5~20%
振込手数料
110~550円

ランサーズ画像

ランサーズ

常時210万件、約40万社以上が利用するクラウドソーシングサイトの老舗。ライティング案件も初心者向けからSEO記事、継続依頼案件など豊富にそろう。クラウドワークスと同じく仮払い制度を採用しており、システム手数料や銀行口座への振込手数料も変わらない。登録したプロフィールをもとにおすすめの仕事をリコメンドしてくれる点も嬉しい。

システム手数料
報酬額の5~20%
振込手数料
110~550円

フリーランスの仕事の見つけ方 その2
人脈を活かす

会社員時代や友人・知人などのつながりを利用して仕事をもらうのもフリーランスの一般的な仕事獲得方法です。

私も会社員時代のつながりで仕事をもらうことが多く、3人目の出産時には仕事をセーブしたにも関わらず継続的に依頼をもらえたりと、人の縁にはとても助けられています。

人脈はフリーランスになってから築くこともできますが、独立を考えているのであれば、会社員時代から社内や取引先につながりを作っておくとフリーランスになった直後の気持ちのゆとりが違ってくると思います。

会社員からフリーランスになってわかったこと

フリーランスになって四年目、書くことが楽しくて続けているwebライターという仕事ですが、もちろん思い通りにいかないこともあります。

痛感しているのは時間管理の大切さ。仕事は月収や1本あたりの記事単価だけでなく、それを何時間で仕上げられるか、という時給換算で考えることも非常に大事だと思うようになりました。
時間を意識しないと、自分がこなせる仕事の量がすぐにあやふやになってしまい、簡単だと思った案件に苦戦したり、苦戦しないまでも家族との生活に影響が出てしまったりします。

また、帳簿付けや確定申告をはじめ、クライアントとの仕事の打ち合わせ、請求書の作成といった本業に付随した作業が増えるのも会社員からフリーランスになってみてわかったことです。

特に税金や会計についてはもっと勉強しておけばよかった……と後悔しました。

今年、第3子を出産したときは、産後2か月を過ぎたところで少しずつ仕事を再開しました。年度の途中だったこともあって保育園には入れなかったので、現在は家で子供の面倒をみながら仕事をしています。

会社員であれば、おそらくこの時期の復帰は難しかったのではないかと思います。フリーランスという仕事をコントロールしやすい働き方であることや事情を考慮して発注量を調整してくれるクライアントの協力によって早めの復帰ができていることは間違いありません。

さらに、Webライターというこの仕事が、やはりとても好きなことが、復帰を強く後押ししてくれたように思います。見過ごされがちですが、フリーランスという働き方を選ぶ最大のメリットは「自分が向いていること」「やっていて楽しいこと」を仕事にできることです

これからフリーランスを目指す方、ライターという仕事に興味のある方に私の実体験が少しでもお役に立てば幸いです。

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